ペルシャ絨毯の素材

あらゆるカーペット、あらゆる織物の中でペルシャ絨毯だけに許された悠に百年を超えるあの驚異の耐久性の秘密は、
まず、ベースとなるその素材にあります。雨や水の極端に少ない風土で育ち、水分を最大限に体内に留める体質を備えるに至った ペルシャ羊からだけ採取可能な再上質のウール、コルクウールだからこそ、ペルシャ絨毯に特有のあの驚くべき弾力性、起毛力が生まれます。
シルクにしても同様で、イラン・モーガン地方を中心に生産される極上のシルクであればこそ、使い込むほどに輝くを増す比類のないペルシャ絨毯の世界を可能にしています。

使い込むうちに美しさが増す染色

ペルシャ絨毯は、数十年、数百年と使い込むうちに、次第に美しさを増してゆくという稀有の特性を備えています。ザクロやアカネ、アカシア、ブドウなどイラン独特の植物を主原料とした数千年来の草木染めがその秘密であり、染め上げばかりの時が一番美しく、その美しさが数年しか続かない化学染料による染色ものと決定的に差がつきます。
媒染剤の吟味、煮沸、ソーピングなどあらゆる工程で熟練職人の勘も加味され、初めて、年ごとに美しさを増すという、
唯一ペルシャ絨毯だけの持つ世界が実現するのです。

昔ながらの手織りの手法

鉄ぐしを操り、パイルを叩き、ノットを限りなく密に詰めてゆく昔ながらの手織りの手法。
熟練した織り子であったとしても1日およそ5000ノットしか結べないと言われるこの気の遠くなる反復作業によりペルシャ絨毯は完成します。洗浄、天日による自然乾燥、シャーリングといった仕上げの工程も含め、真のペルシャ絨毯は、例え小さなものであったとしても一年を超える製作期間を経て初めて完成し、それだからこそ親子三代の財産とも評される永遠の生命を授かるのです。
その手法は3000年来全く変わらない事が現存する世界最古の絨毯、パジリークラグにより検証されています。

ペルシャ絨毯のメンテナンス

絨毯のメンテナンスは10年に一度くらい、水洗いをする必要があります。水洗いをすることにより汚れを落とすということはもちろん、パイルの芯となっている軸糸にある程度の水分を与えるという目的もあります。そうすることによって絨毯はしなやかさを増して行き、草木により染められたパイルの色合いを一段と風合い良く、落ち着いた色にしていきます。
古い絨毯には時間という工程を経て、新しいものにはまねのできない価値を与えてくれます。また、仮に絨毯に穴が開いてしまったとしても熟練職人により修理が可能です。